2016年10月7日金曜日

一万円台の万年筆では最高の書き心地 ~ Pelikan Classic M200 マーブルグリーン M

Pelikan Classic M200 マーブルグリーン M を半月ほど使ってみました。Pelikan といえば Souverän (スーベレーン) が定番なんですけど Classic は Souverän の書き心地を維持したまま廉価化したモデルと言ったところですかね。

Classic M200 は Souverän M400 と同じ大きさで平均的な男性/女性両方の手に合わせています (傾向として日本人女性の手に Pelikan は少し太めかもですが)。下の写真は WATERMAN METROPOLITAN ESSENTIAL F と並べていますがほぼ同じ長さですね。

文字の太さは M ですが写真の通り WATERMAN F とほぼ同じか若干太いかな? といったところ。ボールペンで言えば 0.6mm といったところかな。あまり細いと万年筆特有の書き心地が犠牲になりますので、一般的には M か、字が小さめの人は F か、といったところでしょうか。

限定色のマーブルグリーンは既に生産が終わっていてどんどん Amazon から消えていますので見かけたら早いところ購入することをお勧めします。後継で出荷を始めたばかりの マーブルブルー も良さそうですね。

特筆すべき滑りとインクフローの良さ

WATERMAN との写真は同じインクを使っていますが Pelikan の方が濃く出ているのが分かるでしょうか? Pelikan の方が格段にインクフローがよく、万年筆の書き心地を表すのによく言われるインクドバドバというやつです。

そしてペン先は適度な抵抗を伴いながら引っかかりもなくヌルヌルと滑ります。インクドバドバ、ペン先ヌルヌル… これは気持ちが良い! エンスージストがしばしば使う

熱したナイフでバターを切るような感覚

というフレーズがまさにぴったり。LIFE やミドリのノートなら脳から変な汁が出るレベル。あの悪名高き MOLESKINE のざらついた低質紙(便所紙、わら半紙) を以てしても何とか許せるレベルになります (にじみと裏抜けは酷いですが)。なお細めの F だとこのぬるぬるどばどば感が低くなりますので個人的には M をお勧めしたいところです。

Souverän M400 が 25,000 円前後に対して 10,000 円少々でこの書き心地が味わえるのはお買い得。1 万円台の万年筆では上位 3 位内でオススメできる (少なくともぜひ試し書きしてもらいたい) 万年筆だと思います。

モノとしての安っぽさは好みが分かれるか

廉価版のポジションなので仕方がないですが、プラスチッキーな外観から見た目はどうしても安っぽい印象が先行しますね。持ってみたときもそのプラスチックっぽい軽さでチープさに拍車がかかります。軽すぎて重心が安定しないため最初は手首が疲れました (慣れますが)。書き心地に全てのコストをステ振りしたんでしょうかね。

万年筆好きにとってこの書き心地が安価に味わえるのは嬉しい限りですが、万年筆の購入者は高級感重視のプレゼント目的も多くいるでしょうし、その点が引っかかって手放しに誰でもオススメできるわけでもないなと思うところです。

もし少しでも高級感のある万年筆が良いのであれば、同じ価格帯なら PARKER SONNET の方がオススメ (SONNET も十分ヌルヌルドバドバです)。この書き心地で高級感も必要というのであればワンランク上げて Souverän を検討しましょう。

ただこの安っぽさは慣れの問題でもあって、特出した書き心地のおかげで 2-3 日したら気にならなくなりました。

その他に気になる点など

カートリッジ/コンバーターがない … Pelikan Classic は本体吸引式のためカートリッジのように取り替えが出来ません。外出中にインク切れを起こすと使い物にならなくなりますのでインクボトルと同じ場所で使うのが良いと思います (もちろん購入時に最初に使う時にもボトルインクが必要です)。その反面カートリッジよりインクタンクの容量が大きいので一度の補充で長持ちします。

インク残量が分からない … これはマーブルグリーン特有の話ですが本体が不透過なので仕方がないですね。突然のインク切れに対処できるように、カートリッジ問題と併せてインクボトルをおいている机上で使うのが良いと思います。インク残量を見る必要があるなら Classic のデモンストレーターですかね。